リーダーのほめ方の基本


部下をほめたいと思っても、「何をどう言えばよいのか分からない」「ほめると甘やかしにならないか不安」「年上の部下には失礼になりそう」と迷うリーダーは少なくありません。

ほめ達 名古屋支部では、ほめることを「お世辞を言うこと」や「相手を気分よくさせること」だけだとは考えていません。私たちが大切にしているのは、人・モノ・出来事の価値を見つけ、それを相手に伝わる形で届けることです。

リーダーのほめ方は、部下の成長を支えるだけでなく、職場の空気、相談しやすさ、挑戦のしやすさにも関わります。特に、若手育成、離職防止、世代間の関係づくり、心理的安全性の高い職場づくりに取り組みたい会社には向いています。一方で、事実を見ずに大げさにほめる、特定の人だけをほめる、本人が望まない場で目立たせる場合は注意が必要です。大切なのは、相手の性格、仕事の成熟度、場面、次に増やしたい行動を見て、ほめ方を選ぶことです。


ほめる目的は価値を伝えること

リーダーのほめ方で最初に押さえたいのは、ほめる目的です。ほめる目的は、相手を持ち上げることではなく、本人が気づいていない価値や、続けてほしい行動を言葉にして伝えることです。

たとえば、部下が会議資料を作ってくれたとします。その時に「いい資料だったね」とだけ伝えても、何が良かったのかは残りにくいです。一方で、「比較表があったので判断しやすかったです」「前回の指摘が反映されていて、確認がスムーズでした」と伝えると、本人は次回も同じ工夫をしやすくなります。

これは、成果だけをほめるよりも行動をほめるほうが、次の仕事につながりやすいからです。売上、件数、達成率などの結果は分かりやすいものですが、そこに至るまでの準備、声かけ、確認、改善、周囲への配慮は見落とされやすいものです。リーダーがそこを見つけて伝えると、部下は「ちゃんと見てもらえている」と感じやすくなります。

ただし、何でも無理にほめる必要はありません。事実と違うことを言えば、相手は違和感を覚えます。リーダーに必要なのは、上手な言葉を並べることよりも、相手の行動をよく見ることです。まずは「どの行動を続けてほしいのか」を一つ決めてから、言葉にしてみましょう。


向く職場と注意したい職場

ほめるマネジメントは、若手が萎縮しやすい職場、相談や報告が遅れがちな職場、上司と部下の距離が遠い職場に向いています。小さな行動を認めることで、「ここでは挑戦してよい」「困った時に相談してよい」という安心感が生まれやすくなるためです。

たとえば、ミスが起きた時に責める空気が強い職場では、悪い情報ほど上がりにくくなります。反対に、日頃から「早めに共有してくれて助かりました」「気づいた時点で相談してくれたのがよかったです」と伝えていると、部下は問題を抱え込みにくくなります。これは甘やかしではなく、早く情報が集まる職場をつくるための土台です。

一方で、ほめるだけで解決しようとすると危険な職場もあります。評価基準が曖昧な職場、ルール違反が放置されている職場、業務量が明らかに偏っている職場では、ほめる前に整えるべきことがあります。どれだけ良い言葉をかけても、不公平感や過重負担が強ければ、部下には響きにくくなります。

ほめる力は、職場を良くする有効な方法です。ただし、制度、ルール、業務の分担、評価の納得感と合わせて考えることで、より力を発揮します。職場の空気を変えたい時は、言葉だけでなく、働きやすさも一緒に見直すことが大切です。


選び方は相手と場面で変える

リーダーのほめ方は、全員に同じ言葉を使うより、相手と場面に合わせて変えるほうが自然です。若手、中堅、ベテラン、年上の部下では、受け取りやすい言葉が違います。さらに、人前でほめられたい人もいれば、個別に言われたほうが嬉しい人もいます。

若手には、行動の意味が分かるように伝えることが大切です。「よく頑張ったね」だけでなく、「最初に確認を取ったから、手戻りが少なく済みました」と伝えると、仕事の進め方を学べます。中堅には、判断や工夫を認める言葉が向いています。「関係者の立場を整理してから提案したのがよかったです」と伝えれば、本人の考える力を承認できます。

年上の部下や経験豊富なメンバーには、評価するような言い方よりも、敬意と感謝を込めた言葉が合います。「さすがですね」だけでは上から目線に聞こえることがあるため、「先ほどのフォローで場が落ち着きました。助かりました」と、具体的な貢献に対して感謝を伝えるほうが受け取られやすくなります。

選び方で迷った時は、三つを確認してみてください。本人は人前で注目されることを好むか、今回伝えたいのは結果かプロセスか、次に続けてほしい行動は何か。この三つが見えると、ほめ方は自然に具体的になります。


ほめる

部下が育つほめ方のコツ


結果より行動と変化を見る

部下を育てるほめ方では、結果だけでなく、行動と変化を見ることが大切です。結果は分かりやすい反面、本人の努力だけでは決まらないことがあります。行動や変化を認めると、部下は次に何を続ければよいのかを理解しやすくなります。

たとえば、仕事のスピードがまだ基準に届いていない部下がいるとします。理想が80点で、前回が60点、今回は63点だった場合、「まだ遅い」とだけ言えば、本人は自信を失いやすくなります。しかし、「前回より段取りが早くなっていましたね」と伝えると、伸びた3点に光が当たります。

もちろん、80点に届いていない事実を見逃すわけではありません。「目標は80点なので、次は確認時間をもう少し短くしてみましょう」と伝えれば、承認と改善が両立します。ほめることは、現状を甘く見ることではありません。成長の途中にある小さな変化を見つけ、次の一歩につなげることです。

ほめ達 名古屋支部では、人と比べるのではなく、その人自身の変化を見ることを大切にしています。隣の90点と比べると、55点の人を認めるのは難しくなります。しかし、その人が50点から55点に伸びたのであれば、そこには確かな成長があります。リーダーがその変化に気づけるかどうかが、部下の伸び方を変えていきます。


短く具体的にすぐ伝える

ほめ言葉は、長く丁寧に言えばよいわけではありません。むしろ、良い行動があった直後に、短く具体的に伝えるほうが相手に届きやすいです。時間が経ちすぎると、本人はどの行動を認められたのか分かりにくくなります。

たとえば、会議後に「今日よかったよ」と言うより、「最初に論点を三つに分けてくれたので、話が進めやすかったです」と伝えるほうが具体的です。資料を受け取った時も、「ありがとう」だけでなく、「数字の根拠が整理されていて確認しやすかったです」と添えると、相手は自分の工夫が伝わったと感じます。

メールやチャットでは、ほんの一言でも印象が変わります。「承知しました」だけで終わるところに、「助かりました」「確認しやすかったです」「早めの共有ありがとうございます」と加える。私たちはこれを、20文字ほどの小さなプレゼントとしておすすめしています。忙しい日常でも続けやすく、リーダーの感謝やねぎらいが伝わりやすい方法です。

ただし、感情の記号や強い表現の使いすぎには注意が必要です。びっくりマークを多用すると、人によっては圧を感じることがあります。相手との関係性や社内の雰囲気に合わせ、無理のない温度で伝えましょう。大切なのは派手な言葉ではなく、相手の行動に合った具体性です。


聞き方でも承認は伝わる

ほめ言葉が出てこない時は、聞き方で承認を伝えることができます。目を見る、うなずく、相づちを打つ、繰り返す、メモを取る、質問をする、要約する。こうした行動は、相手に「あなたの話を大切に聞いています」と伝える方法です。

部下が相談に来た時、パソコンを打ちながら「うん、何?」と返すのと、手を止めて体ごと向き、「どうしましたか?」と聞くのでは、相手の受け取り方がまったく違います。後者は、ほめ言葉を使っていなくても、相手の存在を認める行動になります。

メモを取ることも効果的です。部下の提案や気づきを聞いた時に「それ、メモしてもいいですか」と言うだけで、相手は自分の話に価値があると感じやすくなります。質問も同じです。「どうやって気づいたのですか」「その工夫はどこから思いついたのですか」と聞くことで、相手の努力や考えを自然に認めることができます。

聞き方による承認は、目立つことが苦手な人や、年上の部下にも使いやすい方法です。ただし、じっと見つめすぎると相手が萎縮する場合があります。相手が「見張られている」ではなく「見守られている」と感じる距離感を意識しましょう。


ほめる

失敗しないための注意点


ほめすぎは形だけになりやすい

リーダーのほめ方で気をつけたいのは、ほめすぎや根拠のない称賛です。何でも「すごい」「最高」と言い続けると、言葉の価値が下がり、相手に響きにくくなります。部下によっては、「本当に見て言っているのかな」と感じることもあります。

たとえば、売上目標を達成した部下に「すごいね」だけを繰り返すと、本人は一時的に嬉しいかもしれません。しかし、次に何を続ければよいのかは分かりません。より良い伝え方は、「今回、最初のヒアリングで相手の課題を深く聞けていたことが、受注につながったと思います」と具体化することです。

さらに、次の課題も合わせて伝えると、慢心を防ぎやすくなります。「この進め方を、次は後輩にも共有してもらえますか」と続ければ、称賛が次の役割につながります。ほめることを「終わりの合図」にせず、「次の成長への入り口」にすることが大切です。

注意したいのは、ほめる頻度そのものではありません。毎日声をかけることは悪いことではありませんが、内容が薄いと形だけになります。存在を認める言葉、行動を認める言葉、成果を評価する言葉を使い分けることで、ほめ言葉は自然に伝わります。


年上の部下には敬意で伝える

自分より年上の部下や経験の長いメンバーには、評価する言い方よりも、敬意と感謝を込めた言葉が向いています。年下のリーダーから「よくできました」のように聞こえる言葉を受けると、相手によっては違和感を覚えることがあるためです。

たとえば、「さすがですね」だけで済ませるより、「先ほどの一言でお客様が安心されたように見えました。フォローしていただき助かりました」と伝えるほうが自然です。相手の経験や貢献を具体的に扱うことで、上からの評価ではなく、仕事上の敬意として伝わります。

目上の人やベテランを承認する時は、質問も有効です。「あの場面で、どうして先にその確認をされたのですか」「普段からどんなことを意識されているのですか」と尋ねると、相手への関心や尊敬が伝わります。これは、相手を持ち上げるための質問ではなく、本当に学ぶ姿勢があるからこそ伝わる方法です。

注意点として、形式的な言葉はすぐに見抜かれます。年上の部下ほど、言葉の裏にある姿勢を敏感に感じ取ります。日頃から相談する、意見を求める、助けてもらったことに感謝する。そうした積み重ねがあってこそ、ほめ言葉も自然に受け取られます。


リモートでは小さく早く返す

リモートワークでは、部下の努力や気配りが見えにくくなります。だからこそ、チャット、資料、会議での発言、返信の速さ、共有の丁寧さなど、画面上に残る行動を小さく早く認めることが大切です。

たとえば、会議後に議事録がすぐ共有されたら、「論点が整理されていて助かりました」と返します。チャットで早めに状況共有してくれたら、「早めに知らせてもらえたので判断しやすかったです」と伝えます。資料の修正が丁寧だった時は、「前回の指摘が反映されていて確認しやすかったです」と具体的に返します。

リモートでは、部下が「自分の仕事は見えているのだろうか」と不安を持ちやすくなります。対面であれば表情や空気で伝わることも、オンラインでは意識して言葉にしないと届きません。短い言葉でも、早く返すことで安心感が生まれます。

一方で、返信の速さだけをほめすぎると、常に即レスを求められているように感じる人もいます。速さだけでなく、整理の丁寧さ、相手への配慮、事前準備、抜け漏れの少なさにも目を向けましょう。リモートのほめ方では、見えない努力を見つける力と、プレッシャーをかけすぎない配慮の両方が必要です。


ほめ方

ほめる力を職場に広げる


まずリーダー自身を整える

部下をほめる前に、リーダー自身が整っていることも大切です。余裕がない時ほど、人の欠点や不足が目につきやすくなります。逆に、自分の状態が整っていると、部下の小さな成長や工夫に気づきやすくなります。

ほめ達 名古屋支部では、自分が言われて嬉しいほめ言葉を書き出すことをおすすめしています。実際にやってみると、意外と出てこない方が多くいます。特に経営者やリーダーほど、自分の価値を言葉にすることに慣れていない場合があります。

しかし、自分の価値を認められないままでは、周りの価値にも気づきにくくなります。たとえば、「自分はまだまだだ」と常に思っているリーダーは、部下にも同じ厳しさを求めやすくなります。もちろん向上心は大切ですが、今できていることを認める力がなければ、人を育てる言葉は出にくくなります。

まずは、自分自身の小さな変化にも目を向けてみてください。「以前より相談を聞けるようになった」「言い方を一つ変えられた」「感情的に返す前に一呼吸置けた」。こうした変化を認めることが、部下の変化に気づく練習にもなります。リーダー自身の心の余白は、職場の空気に大きく影響します。


仕組み化には時間も必要になる

ほめる文化を職場に広げるには、個人の努力だけでなく、続けられる仕組みも必要です。1on1、朝礼での共有、サンクスカード、社内チャットでの感謝、会議の最後に良かった行動を伝える時間など、小さな仕組みをつくることで、承認が日常に入りやすくなります。

ただし、仕組みを入れれば自動的に職場が変わるわけではありません。最初だけ盛り上がって終わる、投稿する人が固定される、特定の成果だけが目立つといったことも起こります。リーダーが裏方の仕事や小さな改善にも光を当てることで、仕組みは少しずつ職場に根づきます。

たとえば、売上を上げた人だけでなく、トラブル後の片づけをしてくれた人、会議室を整えてくれた人、新人に声をかけてくれた人にも感謝を伝える。こうした行動が続くと、「この職場では見えにくい仕事も見てもらえる」という安心感が生まれます。

仕組み化には、時間コストもあります。1on1の時間、コメントを書く時間、共有する時間、運用を見直す時間が必要です。忙しい職場ほど、無理に大きく始めるより、今ある会議や日報に一言加える形がおすすめです。続けられる小さな方法から始めることが、文化づくりの近道です。


費用は人数や形式で変わる

ほめ方を職場に広げるために研修を検討する場合、費用は人数、時間、形式、内容によって変わります。公開型の講座は一人あたりの費用で考えやすく、企業・団体向けの研修は、参加人数や実施内容に応じて見積もりになることが一般的です。

ほめ達 名古屋支部の企業・団体向け研修も、対象者や人数、実施場所、目的に合わせて内容を調整しています。そのため、費用については参加人数や実施条件を伺ったうえで個別にご案内しています。オンラインで実施できる場合もありますので、拠点が複数ある会社や遠方の会社でも相談しやすい形を検討できます。

本体費用のほかに確認したいのは、交通費、宿泊費、会場費、資料費、事前打ち合わせの有無です。遠方で対面実施する場合は、交通費や宿泊費が別途必要になることがあります。社内で会場を用意する場合も、参加者の調整、事前案内、当日の運営など、担当者の準備時間が必要です。

見積もり前には、誰に受けてもらうのか、何人くらいか、どのような課題を解決したいのかを整理しておくと話が進みやすくなります。管理職向けなのか、全社員向けなのか、若手育成なのか、職場の雰囲気改善なのかによって、研修の設計は変わります。


ほめ方

ほめ達 名古屋支部の研修


価値発見を職場で学ぶ

ほめ達 名古屋支部の研修では、ほめることを単なる会話術ではなく、価値発見の力としてお伝えしています。部下の良いところを探すだけではなく、人、仕事、商品、サービス、出来事の中にある価値を見つけ、相手に伝わる形で届けることを大切にしています。

職場では、問題や不足はすぐに見えます。ミス、遅れ、未達、報告不足などは目につきやすいものです。しかし、日々の業務の中には、丁寧な確認、早めの相談、周囲への配慮、地道な準備、失敗後の立て直しなど、見落とされやすい価値もたくさんあります。リーダーがそこに気づけるようになると、職場の会話が変わります。

ほめ達 名古屋支部では、「ほめる=甘やかす」ではなく、「価値を見つけて伝える」とお伝えしています。この考え方を持つと、部下だけでなく、リーダー自身の見え方も変わります。短所に見えていたことの横にある長所に気づいたり、トラブルの中に学びを見つけたりできるようになります。

こうした力は、管理職やリーダーだけでなく、チーム全体に役立ちます。お互いの価値に気づく人が増えると、声をかけやすくなり、相談しやすくなり、挑戦しやすい空気が生まれます。研修では、職場でそのまま使える考え方と行動に落とし込んでお伝えします。


現場で使える型を練習する


ほめ達 名古屋支部の研修では、精神論だけで終わらせず、現場で使いやすい型を大切にしています。たとえば、2言あいさつ、聞き方でほめる、目で握手、20文字のプレゼント、短所を長所に言い換える練習などです。

2言あいさつは、いつもの「おはようございます」に、名前や一言を加える方法です。「〇〇さん、おはようございます」「昨日の対応、助かりました」など、ほんの少し言葉を足すだけで、相手は自分に向けられた言葉だと感じやすくなります。

聞き方でほめる方法も、すぐに始められます。相手の目を見る、うなずく、相づちを打つ、メモを取る、質問をする。これらはすべて、相手に関心を向けていることを伝える行動です。特別な言葉が出てこなくても、聞き方を変えるだけで、部下は「大切に扱われている」と感じやすくなります。

短所を長所に言い換える練習は、リーダーの見方を広げます。「決断が遅い」は「慎重に考えられる」、「落ち着きがない」は「行動力がある」、「気が弱い」は「人の気持ちに敏感」と見ることもできます。もちろん、改善が必要な点は別に伝えます。ただ、一つの面だけで相手を決めつけないことが、育成には欠かせません。


導入前に確認したいこと

研修を導入する前には、目的と対象者をはっきりさせることが大切です。職場の雰囲気を明るくしたいのか、管理職の伝え方を変えたいのか、若手育成を強化したいのか、離職防止につなげたいのか。目的によって、研修の内容や進め方は変わります。

たとえば、管理職向けであれば、部下の行動をどう見るか、叱る場面でどう言葉を選ぶか、年上の部下にどう敬意を伝えるかを深めると実務に結びつきやすくなります。全社員向けであれば、感謝や承認を日常に増やす方法、チーム内で声をかけ合う方法を中心にすると取り入れやすくなります。

確認したいことは、参加人数、実施時間、対面かオンラインか、会場の有無、対象者の役職、現在の職場課題です。遠方の場合は交通費や宿泊費が発生する場合があります。日程はできる限りご都合に合わせて調整しますが、参加者が集まりやすい時期や時間帯も事前に考えておくとスムーズです。

研修は、受けて終わりではなく、受けた後に何を続けるかで効果が変わります。たとえば、1か月間は2言あいさつを実践する、会議の最後に一つ感謝を伝える、管理職同士で言葉の変化を共有する。こうした小さな継続まで決めておくと、職場への定着につながりやすくなります。

ほめ方

よくある質問


調子に乗る部下にはどうする?

調子に乗りやすい部下には、結果だけでなく、プロセスと次の課題をセットで伝えることが大切です。結果だけを大きくほめると、「これで十分」と受け取られることがあります。行動のどこが良かったのかを伝えたうえで、次に期待する役割を示すと、成長の方向が定まりやすくなります。

たとえば、「売上達成おめでとう」で終わらせず、「今回、最初のヒアリングで相手の課題を深く聞けたことが受注につながったと思います。次はその進め方を後輩にも共有してもらえますか」と伝えます。これなら、本人は評価された行動を理解しながら、次の貢献も意識できます。

調子に乗ること自体を、すぐに悪いことと決めつける必要はありません。自信が出ている時期でもあります。ただし、周囲への配慮が減る、基本動作が雑になる、確認を省くようになる場合は、そこは別に指摘します。ほめることと注意することは両立します。

大切なのは、称賛を終点にしないことです。ほめた後に、次の役割や期待を伝えることで、部下は「認められたからこそ、次に進む」と受け止めやすくなります。


ほめるのが苦手な時は?

ほめるのが苦手なリーダーは、無理に上手な言葉を探さなくて大丈夫です。まずは、感謝、ねぎらい、質問、聞き方から始めるほうが自然です。「助かりました」「早めに共有してくれてありがとうございます」「確認しやすかったです」だけでも、相手には十分伝わります。

ほめることを難しく感じる理由の一つは、「立派な言葉を言わなければならない」と思い込んでいることです。しかし、ほめることは相手を大げさに持ち上げることではありません。相手の行動が、自分やチームにどう役立ったのかを返すだけでも、立派な承認になります。

それでも言葉が出にくい場合は、相手の行動を観察するところから始めましょう。返信が早い、確認が丁寧、会議でメモを取っている、後輩に声をかけている、片づけをしている。こうした小さな行動を一つ見つけて、「〇〇してくれて助かりました」と伝えれば十分です。

また、自分が言われて嬉しい言葉を書き出してみるのもおすすめです。自分がどんな言葉で力をもらうのかが分かると、相手にも言葉を届けやすくなります。ほめる力は、生まれつきではなく練習で育てられる力です。


叱る場面でも使える?

ほめ方の考え方は、叱る場面でも使えます。ただし、叱ることをやめるという意味ではありません。安全、品質、法令、顧客への影響に関わることは、リーダーが明確に伝える必要があります。そのうえで、相手の人格ではなく、行動と次の改善に焦点を当てます。

たとえば、報告が遅れた部下に「どうしてできないの」と詰めると、防御的になりやすくなります。代わりに、「トラブルの初動で共有が遅れると、対応の選択肢が減ります。次からは分かった時点で一報ください」と伝えます。事実、影響、次の行動を分けて伝えることで、相手は受け止めやすくなります。

そのうえで、「普段の顧客対応は丁寧なので、報告の早さも加わると、さらに安心して任せられます」と期待を伝えることもできます。これは無理にほめているのではなく、相手の強みを踏まえて改善を促す伝え方です。

注意したいのは、ほめ言葉を注意の前置きとして使いすぎないことです。毎回「良いところもあるけれど」と始めると、相手は身構えます。叱る時は短く、普段の承認は普段から積み重ねる。これが、言葉を受け取ってもらうための土台になります。


良い点が見えない時は?

部下の良い点が見えない時は、相手に問題があると決めつける前に、自分が見ている範囲を変えてみましょう。成果だけを見ていると、準備、配慮、継続、改善、学習、周囲への貢献が見えにくくなります。

たとえば、仕事が遅い部下でも、確認が丁寧、ミスが少ない、相手の話を遮らない、決めたことを守るといった強みがあるかもしれません。元気すぎる人は軽く見えることもありますが、場を明るくする力を持っている場合があります。冷静すぎる人は冷たいと見られがちですが、トラブル時には落ち着いて判断できる可能性があります。

ほめ達 名古屋支部では、短所に見える特徴を長所に言い換える練習を大切にしています。人は一面だけでできているわけではありません。見る角度を変えると、同じ特徴が違う価値として見えることがあります。

それでも見つからない時は、本人に質問してみるのも方法です。「今回、どこを工夫しましたか」「前回より意識したことはありますか」と聞くと、見えていなかった努力が分かることがあります。良い点を探すことは、相手を甘く見ることではありません。相手を育てるための材料を見つけることです。


AI時代もほめ方は必要?

AIが仕事に入ってくる時代でも、リーダーのほめ方は必要です。むしろ、業務の効率化が進むほど、人が見てくれている、貢献が認められているという感覚は大切になります。AIは文章作成や情報整理を助けてくれますが、部下の背景や感情まで受け止めるのはリーダーの役割です。

たとえば、AIに感謝のメッセージ案を出してもらうことはできます。「資料作成を手伝ってくれた部下に、短く感謝を伝えたい」と入力すれば、候補は出てくるでしょう。しかし、どの行動を取り上げるか、どの言葉なら相手に合うか、どのタイミングで伝えるかは、リーダーが判断する必要があります。

AIを使うなら、ほめ漏れを防ぐ補助として考えるのがよいでしょう。1on1の前に部下の最近の行動を整理する、チャットの返信を柔らかくする、感謝の言葉を言い換える。こうした使い方は便利です。ただし、最後は必ず自分の言葉として見直しましょう。

整った文章でも、事実に合っていなければ相手には響きません。AI時代のリーダーに求められるのは、便利な道具を使いながらも、人の価値を自分の目で見つけ、自分の言葉で届ける姿勢です。


リーダーのほめ方の要点

  • リーダーのほめ方はお世辞ではなく価値を見つけて伝える行動
  • 結果だけでなく行動や工夫を言葉にすると次の仕事につながる
  • 若手には行動を伝え、中堅には判断を認め、年上には感謝で返す
  • 人前でほめるか個別に伝えるかは相手の性格で選ぶ
  • ほめ言葉は長くするより短く具体的にその場で伝える
  • ほめすぎを避けるには事実に合った温度感を守ることが大切
  • リモートではチャットや資料など小さな行動を早く認める
  • ほめるのが苦手なら感謝、質問、聞き方から始めるとよい
  • 叱る場面では人格ではなく行動と次の改善を伝える
  • 良い点が見えない時は成果以外の準備や配慮にも目を向ける
  • リーダー自身が整うと部下の小さな変化に気づきやすくなる
  • 研修費用は人数、形式、交通費、準備時間まで含めて見る
  • ほめ達 名古屋支部では価値発見を現場で使える形で学べる
  • 研修は受けて終わりにせず日常の声かけに落とす必要がある
  • ほめ方で差が出るのは言葉の上手さより相手を見ている実感


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