上司をほめる前の基準


評価より感謝で伝える

上司をほめるときは、「評価」ではなく「感謝」に寄せると自然です。目上の人に対して「上手ですね」「できていますね」と言うと、こちらが相手を採点しているように聞こえることがあります。悪気がなくても、言葉の立ち位置がずれると、せっかくの好意が伝わりにくくなります。

たとえば、「課長の説明、分かりやすかったです」でも悪くはありません。ただ、より自然にするなら「先ほどの説明のおかげで、次に何をすればよいか整理できました」と伝えるほうが安全です。相手の能力を上から判断するのではなく、自分が受けた良い影響を伝えているからです。

この形は、若手社員や中堅社員だけでなく、管理職同士の会話にも使えます。「〇〇さんの進め方を見て、会議前の準備の大切さを改めて感じました」と言えば、相手への敬意と学ぶ姿勢が同時に伝わります。反対に、関係が浅い段階で「さすがですね」「すごいですね」だけを何度も使うと、軽い印象になりやすいため注意しましょう。

上司をほめる言葉は、相手の立派さを言い切るよりも、「助かりました」「勉強になりました」「安心して進められました」といった自分側の変化を添えると、職場で使いやすくなります。


向く人と注意したい人

上司をほめる行為は、誰にでも必要な処世術というより、職場の信頼関係を丁寧に整えたい人に向いています。特に、上司に相談しやすい関係を作りたい人、指導を受けたあとに感謝を伝えたい人、チームの空気を良くしたい人には役立ちます。

一方で、相手の機嫌を取るためだけに使う人には向きません。事実がないのに大げさにほめると、お世辞に聞こえます。さらに、特定の上司だけを人前で持ち上げ続けると、周囲から不自然に見えることもあります。上司本人も「何か意図があるのでは」と感じるかもしれません。

向いているのは、相手の行動や助言をよく見て、具体的に伝えられる人です。たとえば、「昨日の確認のおかげで、資料の修正点を早めに見つけられました」と言えるなら、ほめ言葉は自然な報告になります。逆に、「とにかく良く思われたい」という目的が強い場合は、まず感謝や報告として伝える形から始めたほうが安心です。

上司のほめ方は、うまい言い回しを覚えるよりも、相手のどの行動が自分やチームに良い影響を与えたのかを見つける力が大切です。


選ぶ基準は事実の具体性

上司をほめる言葉を選ぶときの基準は、具体的な事実が入っているかどうかです。事実が入ると、お世辞ではなく、仕事上の正当な反応として伝わります。反対に、事実がない言葉は、どれだけ丁寧でも軽く聞こえやすくなります。

たとえば、「すごいです」だけでは、何がすごいのか分かりません。「先ほどの商談で、お客様の不安を先に言葉にされていたので、場の空気が和らいだように感じました」と伝えれば、相手はどの行動が良かったのか分かります。ここまで長く言えない場合でも、「あの一言で場が落ち着きました。勉強になりました」なら十分です。

見るべき場所は、成果だけではありません。準備、判断、言葉の選び方、部下への声かけ、会議の進め方、トラブル時の落ち着きなど、仕事の途中にもほめる材料はあります。特に上司は結果だけを見られがちなので、プロセスに触れられると「ちゃんと見てくれている」と感じやすくなります。

迷ったときは、「何が」「どう良くて」「自分や周囲にどんな影響があったか」の順で考えると、言葉を選びやすくなります。


褒め方

失礼に見えない伝え方


結果より影響を伝える

上司を自然にほめるには、結果そのものよりも、自分やチームに起きた良い影響を伝えるのが効果的です。目上の人の実績をこちらが評価するより、「そのおかげでどう助かったか」を伝えるほうが、敬意として受け取られやすくなります。

たとえば、「部長の判断は正しかったですね」だと、少し評価する響きがあります。これを「部長が早めに判断してくださったので、こちらも迷わず準備に入れました」と変えると、同じ内容でも印象が変わります。相手の判断をほめつつ、自分の行動が進んだという事実も伝えられます。

この言い方は、上司との距離が近くない場合にも使いやすいです。「勉強になりました」「安心して進められました」「次の対応が見えました」といった表現は、相手を持ち上げすぎず、自然な感謝になります。ただし、毎回同じ言葉を使うと形式的になるため、実際に起きた変化を一つ添えることが大切です。

上司をほめるときは、「あなたはすごい」と直接言うより、「あなたの行動でこう助かった」と伝えるほうが、職場では長く使える言い方です。


人前と一対一を使い分ける

上司をほめる場面は、人前と一対一で使い分ける必要があります。人前での言葉はチーム全体に聞こえるため、伝え方によっては周囲が違和感を持つことがあります。一方で、一対一なら具体的な感謝を落ち着いて伝えやすくなります。

人前で伝えるなら、個人的な持ち上げではなく、仕事の流れに関係する内容に絞るのが安全です。たとえば、会議の終わりに「先ほど整理していただいたおかげで、次の担当範囲が明確になりました」と言う程度なら、周囲にも自然に聞こえます。「やっぱり課長は最高です」のような表現は、場によっては浮いてしまいます。

一対一では、もう少し具体的に伝えても問題ありません。「昨日の面談でいただいた言葉が残っていて、今日の提案に反映できました」と伝えれば、相手も自分の言葉が届いたことを実感できます。感謝を伝える目的がはっきりしているので、媚びた印象にもなりにくくなります。

どちらの場面でも大切なのは、周囲の人を下げないことです。「他の人と違って、〇〇さんは本当に分かってくれます」といった言い方は、上司をほめているようで、別の誰かを傷つける可能性があります。


すぐ伝えるほど自然になる

上司へのほめ言葉は、時間を置きすぎないほうが自然です。良いと思った行動の直後に伝えると、何に対する言葉なのかが明確になり、お世辞感も薄くなります。あとから大げさに伝えるより、短くてもその場で言うほうが届きやすいことがあります。

たとえば、会議後に廊下で「先ほどの説明で、論点がかなり整理できました。ありがとうございます」と言うだけでも十分です。メールで長文を書く必要はありません。上司が忙しそうな場合は、チャットで「先ほどのご助言で次の進め方が見えました。ありがとうございます」と送るだけでも伝わります。

ただし、すぐ伝えることにこだわりすぎて、相手の状況を見ないのは避けたいところです。上司が移動中で急いでいる、トラブル対応中で集中している、他の人と重要な話をしているといった場合は、少し時間を置いたほうがよいです。タイミングの良さも、言葉の印象を左右します。

伝える早さは大切ですが、最優先は相手が受け取りやすい状態かどうかです。短く、具体的に、相手の邪魔にならない形で伝えると、上司へのほめ言葉は日常の会話に溶け込みます。


褒め方

言葉と例文の選び方


「さすが」は理由を添える

「さすがですね」「すごいですね」は、上司に使ってはいけない言葉ではありません。ただし、単体で使うと軽く聞こえたり、上から評価しているように受け取られたりすることがあります。使うなら、必ず理由を添えるのが安心です。

たとえば、「さすがですね」だけで終わらせず、「さすが〇〇さんですね。あの場面でお客様の不安を先に拾えるのは、私にはまだ難しいです」と続けると、尊敬の理由が伝わります。「すごいです」も、「短い時間で論点を3つに整理されていて、会議の進み方が変わりました」と言えば、何を見てそう感じたのかが明確になります。

使いやすい言い方には、次のようなものがあります。

  • 「その伝え方、勉強になりました」
  • 「先ほどの一言で場が落ち着いたように感じました」
  • 「判断が早かったので、こちらも動きやすかったです」
  • 「あの確認を入れていただいたおかげで、ミスを防げました」
  • 「私も次からその進め方を意識します」

大切なのは、ほめ言葉を飾ることではなく、実際に見た行動を言葉にすることです。短い言葉でも、理由があるだけで伝わり方は大きく変わります。


メールやチャットで伝える

対面で上司をほめるのが苦手な人は、メールやチャットを使うと伝えやすくなります。文章なら言葉を選べるため、勢いで大げさな表現になるのを防ぎやすいからです。特に、上司が忙しい職場では、短いメッセージのほうが負担にならない場合もあります。

メールなら、用件の最後に一文添える形が自然です。「本日の打ち合わせでは、先方の懸念点を整理していただきありがとうございました。次回提案の方向性が明確になりました」と書けば、感謝と良い影響が同時に伝わります。チャットなら、「先ほどのアドバイスで修正方針が決まりました。ありがとうございます」程度で十分です。

ただし、文章は表情や声の調子が伝わらないため、冗談めいた表現や過度な感嘆符は避けたほうが安全です。「神対応でした!」のような言葉は、関係性によっては軽く見えることがあります。ビジネス上の相手として敬意を持って伝えるなら、落ち着いた表現のほうが無難です。

文章で伝えるときは、「何についてのお礼か」「どう助かったか」を入れることです。短くても具体的であれば、上司へのほめ言葉はきちんと届きます。


苦手な上司は成果を拾う

苦手な上司を無理に人格ごとほめる必要はありません。関係に距離がある相手ほど、性格や人柄ではなく、仕事上の行動や成果に絞って伝えるほうが現実的です。心にもない言葉を使うと、自分も苦しくなり、相手にも違和感が伝わります。

たとえば、苦手な上司に「いつも尊敬しています」と言う必要はありません。「先ほど確認していただいたおかげで、提出前に修正できました。ありがとうございます」と伝えるだけで十分です。これは相手を持ち上げる言葉ではなく、仕事上の事実に対する感謝です。

見る場所を変えると、言葉にできる材料は増えます。たとえば、判断が厳しい上司なら「基準を明確にしていただいたので、次に気をつける点が分かりました」と伝えられます。細かい指摘が多い上司なら「見落としていた点に気づけました」と言えます。もちろん、理不尽な言動やハラスメントに近い言動まで肯定する必要はありません。

苦手な相手ほど、「相手を好きになること」と「仕事上の良い影響を認めること」を分けて考えるのが大切です。そのほうが無理なく、職場の関係を整えやすくなります。


褒め方

避けたいほめ方と確認点


上から目線に聞こえる言葉

上司をほめるときに避けたいのは、相手を評価する立場に立ってしまう言葉です。「よくできていますね」「成長しましたね」「意外と頼りになりますね」といった表現は、目上の人に対して使うと失礼に聞こえる可能性があります。

特に「意外と」は注意が必要です。「意外と説明が分かりやすいですね」と言うと、普段は分かりにくいと思っていた印象を与えます。「思ったより」「案外」も同じように、相手を低く見ていたように聞こえることがあります。本人に悪気がなくても、言葉に含まれる前提が相手を不快にさせる場合があります。

言い換えるなら、「先ほどの説明で理解が深まりました」「要点を整理していただいたので、次の動きが分かりました」のように、自分の受け取った効果を伝えます。相手の能力を測る言い方ではなく、自分が助かった事実を話す形です。

上から目線を避けるには、「相手を判定していないか」を一度確認するとよいです。言葉の主語が「上司は」になりすぎている場合は、「私はどう助かったか」に変えると、伝え方が自然になります。


容姿や年齢は避ける

職場で上司をほめるときは、容姿、年齢、性別に関わる言葉は避けるのが安全です。たとえ好意的なつもりでも、相手がどう受け取るかは分かりません。特にビジネスの場では、仕事の成果や行動に関する言葉を選ぶほうが安心です。

たとえば、「若々しいですね」「女性なのに決断が早いですね」「年齢のわりに柔軟ですね」といった言葉は、ほめているつもりでも偏った前提が含まれます。相手によっては、年齢や性別で見られていると感じるかもしれません。服装や髪型への言及も、職場の関係性によっては慎重に扱う必要があります。

代わりに、仕事に関係する行動を拾いましょう。「先ほどの判断が早くて、チーム全体が動きやすくなりました」「相手の反応を見ながら説明を変えられていて、勉強になりました」といった言葉なら、相手の仕事ぶりに焦点が当たります。

もちろん、長い信頼関係がある相手との雑談で服装に触れる場面もあります。ただ、記事を読んでいる人がまず身につけるべきなのは、どの職場でも使いやすい安全な言葉です。迷ったら、見た目ではなく仕事上の行動を選びましょう。


媚びに見えない工夫

上司をほめると媚びているように見えないか不安な場合は、伝える内容を「成果への感謝」に寄せることが大切です。周囲が違和感を持ちやすいのは、根拠のない持ち上げや、特定の上司だけを過剰に称える言動です。事実に基づいた感謝であれば、職場の自然なやり取りとして受け止められやすくなります。

たとえば、朝礼で「課長は本当にすばらしいです」と大きく言うと、場によっては浮いてしまいます。しかし、会議後に「先ほどの助言のおかげで、資料の修正点が明確になりました」と伝えるなら、仕事上の報告に近くなります。周囲に聞こえたとしても、不自然さは少ないでしょう。

媚びに見えないためには、他人を下げないことも重要です。「他の上司と違って、〇〇さんは話が分かります」と言うと、相手をほめながら別の人を下げています。これは職場の空気を悪くする原因になります。上司をほめるときほど、周りの人への配慮も必要です。

確認したいのは、「自分の利益のためだけに見えないか」「事実があるか」「周囲を不快にしないか」です。この3つを満たしていれば、上司へのほめ言葉は信頼関係を整える会話になります。



褒め方

学び方と費用の考え方


独学で始められること

上司のほめ方は、独学でも今日から始められます。まずは、立派な言葉を探すより、上司の行動をよく見ることです。会議での進め方、部下への声かけ、判断の速さ、トラブル時の落ち着きなど、仕事の中には言葉にできる材料がたくさんあります。

おすすめは、1日の終わりに「今日、助かった上司の行動」を一つ書き出すことです。「確認が早かった」「先方への説明が丁寧だった」「会議で話を振ってくれた」など、小さなことで構いません。書き出すことで、ほめる対象を無理に探すのではなく、見えていなかった価値に気づきやすくなります。

もう一つは、短所に見えるものを言い換える練習です。たとえば「細かい」は「確認が丁寧」、「厳しい」は「基準を大切にしている」、「慎重」は「リスクを見ている」と捉え直せます。これは相手を無理に美化するためではなく、一つの面だけで決めつけないための練習です。

独学に向いているのは、まず自分の言葉を少し変えたい人です。ただし、職場全体の雰囲気や管理職の関わり方を変えたい場合は、個人の努力だけでは限界があります。その場合は、研修や検定で共通の言葉を持つことも選択肢になります。


研修で学ぶほうがよい場合

研修で学ぶほうがよいのは、個人の会話術ではなく、職場全体の関係性を整えたい場合です。たとえば、若手が相談しにくい、管理職の声かけが厳しくなりがち、世代間の受け止め方にズレがある、離職や雰囲気の悪さが気になるといった職場では、共通の学びが役立ちます。

上司のほめ方は、単なるフレーズ集ではありません。相手を見ること、信じること、言葉を変えることが土台になります。ここを理解せずに言葉だけを真似すると、表面的なお世辞に聞こえることがあります。研修では、実際の職場で起こりやすい場面をもとに、どう言い換えるか、どのタイミングで伝えるかを練習できます。

特に管理職研修では、ほめることと甘やかすことの違いを整理することが大切です。ほめるとは、できている部分や成長の兆しを見つけて伝えることです。必要な指摘をしないことではありません。むしろ、普段から信頼関係があるほど、厳しいことも伝わりやすくなります。

研修を選ぶときは、きれいな理論だけでなく、職場で使える言葉に落とし込めるかを見たいところです。受講後に、あいさつ、面談、会議、チャットなどの日常場面で何を変えるかまで見える内容が向いています。


費用は条件で変わる

上司のほめ方を学ぶ費用は、独学、検定、企業研修のどれを選ぶかで変わります。書籍や動画で学ぶ場合は比較的始めやすく、個人で考え方を知るには十分なこともあります。一方で、職場単位で変化を作りたい場合は、研修費用や実施条件を確認する必要があります。

企業研修では、参加人数、実施時間、内容のカスタマイズ、対面かオンラインかによって費用が変わることがあります。遠方での開催では、講師の交通費や宿泊費が別途必要になる場合もあります。案内内容は変わる場合があるため、申込み前に見積もりを確認するのが安心です。

費用を見るときは、金額だけで判断しないほうがよいです。安くても、受講後に何を実践すればよいか分からなければ、職場には残りにくくなります。反対に、少し費用がかかっても、管理職の言葉が変わり、相談しやすい空気が生まれるなら、長い目で見る価値があります。

確認したいのは、対象者、実施人数、オンライン対応の有無、研修後に職場で続けられる内容かどうかです。特に初めて導入する場合は、目的を「ほめ上手になる」だけにせず、「相談しやすい職場にする」「若手が育ちやすい関係を作る」など、現場の課題に合わせると選びやすくなります。


褒め方

ほめ達名古屋支部の考え方


ほめるとは価値を見つけること

ほめ達名古屋支部では、ほめることを、お世辞やご機嫌取りではなく「価値を発見して伝えること」と考えています。これは、上司をほめる場面でも同じです。相手を持ち上げるのではなく、仕事の中で見えた価値を言葉にすることが大切です。

たとえば、上司の判断、準備、場の整え方、部下への配慮、トラブル時の落ち着きなどには、見過ごされやすい価値があります。普段は「上司だから当たり前」と思っていることも、言葉にして伝えると、相手との関係が変わるきっかけになります。

この考え方では、ほめることは相手のためだけではありません。価値を見つけようとすることで、自分の見方も変わります。苦手だと思っていた上司の中にも、「基準を守ろうとしている」「責任を背負って判断している」といった別の面が見えることがあります。もちろん、理不尽な言動まで良いものに変える必要はありません。ただ、一面だけで相手を決めつけないことは、職場でのストレスを減らす助けになります。

上司のほめ方に迷う人ほど、まずは言葉のテクニックより、何を見ているかを整えることが大切です。価値を見つける力が育つと、自然な言葉が出やすくなります。


見る・信じる・言葉を変える

ほめ達名古屋支部が大切にしている実践の一つに、「見る」「信じる」「言葉を変える」があります。上司をほめるときも、この3つを意識すると、言葉が表面的になりにくくなります。

まず「見る」とは、相手の行動を決めつけずに観察することです。「いつも細かい」と思っている上司でも、よく見ると、ミスを防ぐために先回りしているのかもしれません。「厳しい」と感じる上司も、仕事の基準を守ろうとしている場合があります。見方が変わると、伝える言葉も変わります。

次に「信じる」とは、相手の中に良い部分や可能性があると見ることです。ただし、信じることは何でも任せきりにすることではありません。仕事では確認や報告も必要です。信頼と確認を分けて考えると、ほめることが甘やかしになりにくくなります。

最後に「言葉を変える」ことです。「頑張ってください」より「いつも準備されているのを見て、私も背筋が伸びます」のほうが、相手に届く場合があります。正しいことを言うだけではなく、相手の心が受け取りやすい形に変えることが、職場の会話では大切です。

上司をほめる力は、特別な才能ではありません。少し見方を変え、少し言葉を変える積み重ねで育てられます。


検定や研修で実践を学べる

ほめ達名古屋支部では、一般向けの検定や企業・団体向けの研修を通じて、ほめる考え方と実践を伝えています。上司のほめ方に限らず、部下育成、職場の雰囲気づくり、管理職の声かけ、世代間のコミュニケーションなど、職場で起きやすい課題に合わせて学べることが特徴です。

一般向けの検定は、個人が自分の見方や言葉を整えたい場合に向いています。「人の良いところを見つけるのが苦手」「つい欠点ばかり見てしまう」と感じる人は、考え方の土台を学ぶ機会になります。企業研修は、管理職やチーム全体で共通の言葉を持ちたい場合に向いています。

研修を検討する場合は、人数、目的、開催方法、日程、費用を事前に確認しましょう。オンラインで対応できる場合もありますが、内容や条件は相談が必要です。遠方での実施では交通費や宿泊費が発生することもあるため、総額で見積もると安心です。

上司のほめ方を学ぶ目的は、上司に気に入られることではありません。職場にある価値を見つけ、感謝や敬意を言葉にし、相談しやすい関係を増やすことです。その意味で、個人の会話術としても、組織づくりの入口としても活用できます。


褒め方

よくある質問


上司をほめるのは失礼ですか

上司をほめること自体は失礼ではありません。ただし、言い方によっては失礼に聞こえることがあります。特に、上司を評価するような表現や、能力を採点するような言葉は避けたほうが安全です。

たとえば、「今日の説明、よくできていましたね」は、目上の人に対しては上から目線に聞こえる可能性があります。これを「今日の説明で、次にやることが明確になりました。ありがとうございます」と変えると、感謝として伝わります。

上司に対しては、「あなたはすごい」と断定するより、「私はこう助かりました」「こう学びました」と伝えるほうが自然です。相手の行動が自分やチームにどんな良い影響を与えたのかを言葉にすれば、失礼になる可能性は低くなります。

ただし、関係性や職場の文化によって受け取られ方は変わります。普段あまり会話がない上司に急に大げさな言葉を使うと、不自然に感じられることもあります。最初は短い感謝から始めるのがおすすめです。


ほめ言葉が出ない時は

ほめ言葉が出ないときは、無理に相手の長所を探そうとしなくて大丈夫です。まずは「助かったこと」「学んだこと」「気づいたこと」を探すと、言葉にしやすくなります。ほめるというより、具体的な感謝を伝える形です。

たとえば、「上司の良いところを言ってください」と言われると難しく感じるかもしれません。しかし、「今日の仕事で助かったことは何か」と考えると、「確認が早かった」「判断を先にしてくれた」「お客様への説明を引き受けてくれた」など、具体的な材料が見つかります。

それでも出ない場合は、聞き方で認める方法もあります。上司が話しているときに、目を見る、うなずく、メモを取る、要点を繰り返すといった行動も、相手への敬意になります。言葉で大きくほめるだけが、認める方法ではありません。

注意したいのは、思ってもいないことを言わないことです。無理に作った言葉は、自分にも相手にも違和感が残ります。まずは事実に基づく一言から始めるほうが、長く続けやすくなります。


周囲に媚びと思われませんか

周囲に媚びと思われるかどうかは、言葉の内容と場面で変わります。根拠のない持ち上げや、特定の上司だけを過剰にほめる言動は、周りから不自然に見えることがあります。一方で、仕事上の事実に基づいた感謝なら、媚びではなく自然なコミュニケーションとして受け取られやすくなります。

たとえば、「〇〇部長は本当に完璧です」と人前で繰り返すと、場によっては違和感があります。しかし、「先ほどの整理で担当範囲が明確になりました。ありがとうございます」と伝えるなら、仕事の流れに沿った発言です。

媚びに見せないためには、周囲を下げないことも大切です。「他の人と違って、〇〇さんは分かってくれます」と言うと、ほめ言葉の中に比較が入ります。これは上司にも周囲にも良い印象を与えにくい表現です。

不安な場合は、一対一で短く伝える、メールやチャットで用件に添える、仕事の成果に関係する内容だけにする、といった工夫ができます。上司をほめる目的を「自分をよく見せること」ではなく、「助かった事実を伝えること」に戻せば、言葉は自然になります。


叱る場面との違いは

ほめることと叱ることは、反対の行為のように見えますが、どちらも相手の成長や仕事の質を考えて行うものです。ほめるだけで必要な指摘をしないのは、職場では不十分です。一方で、指摘ばかりで相手の良い部分を見ないと、関係が固くなりやすくなります。

上司をほめる場面では、良い影響を言葉にします。たとえば、「先ほどの確認でミスを防げました」と伝えることです。叱る、または意見を伝える場面では、相手の人格ではなく、行動や事実に絞って話す必要があります。これは上司に対して意見を伝える場合も同じです。

たとえば、上司の指示が分かりにくかった場合に、「説明が雑です」と言うのではなく、「確認なのですが、優先順位はAからでよろしいでしょうか」と聞くほうが現実的です。相手を責めずに、必要な確認をする形です。

ほめることは、何でも肯定することではありません。普段から感謝や敬意を言葉にしておくと、確認や相談もしやすくなります。上司との関係づくりでは、ほめることと必要な確認を両方持つことが大切です。


リモートではどう伝えますか

リモート環境では、対面よりも言葉が残りやすいため、短く具体的に伝えることが大切です。チャットやメールでは、表情や声の調子が伝わらない分、大げさな表現よりも落ち着いた言葉のほうが安心です。

たとえば、オンライン会議後に「先ほどの補足説明で、提案の方向性が明確になりました。ありがとうございます」と送るだけでも十分です。絵文字やスタンプを使う職場なら、軽い反応も役立ちますが、上司との関係性や社内の雰囲気に合わせる必要があります。

リモートでは、反応の速さも一つのメッセージになります。上司が資料を共有してくれたときに、何も反応しないより、「確認しました。特に〇ページの整理が分かりやすかったです」と返すほうが、相手の行動を認めることにつながります。

ただし、チャットは周囲にも見える場合があります。全員が見る場所では、個人的な持ち上げよりも、仕事に関係する感謝にとどめましょう。個別の感謝はダイレクトメッセージで伝えるなど、場を選ぶことも大切です。


褒め方

上司のほめ方の要点


  • 上司のほめ方は評価ではなく感謝を基本にする
  • 「すごいですね」だけで終わらせず理由を添える
  • 何が良かったかより先にどう助かったかを伝える
  • 人前では個人的な持ち上げより仕事上の感謝にする
  • 一対一では具体的な学びや影響を少し詳しく伝える
  • 容姿や年齢や性別に関わる言葉は避ける
  • 苦手な上司には人格ではなく行動や成果を拾う
  • 媚びに見せないためには事実と感謝をセットにする
  • 周囲の人を下げるほめ方は職場の空気を悪くする
  • メールやチャットでは短く落ち着いた表現を使う
  • ほめ言葉が出ない時は聞き方や反応で認める
  • 独学は小さな言い換えから始めると続けやすい
  • 職場全体を変えたい場合は研修で共通の言葉を持つ
  • 費用は人数や実施方法や交通費の有無まで確認する
  • ほめるとは相手の価値を見つけて言葉にすること


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